2010年1月11日月曜日

リスクテイク戦略について

ヤフーの井上社長の記事が物議を醸している。

「グーグル?すごいとは思わないね?」


ふむふむ。続けて、読んでみれば、


(a)「検索連動広告」は米ヤフーの真似
(b) ストリートビューはすごいけど一種の「のぞき」
(c) ブックサーチは著作権無視のコピーだ
(d) YouTubeだって、違法の動画がトラフィックの多くを占めている」


ああ、ユーザー本位でない典型的な日本の既存型大企業だ。官僚的。ユーザーに対して、上から目線。

『ユーザーが使いたい機能を提供するのが Google、ユーザーに"使わせたい"機能を提供するのが Yahoo JAPAN』と揶揄される所以だ。

日本の大企業は、とにかく法律に盲目的にしばられる。法律が「固定的である」という考えに支配されているけど、現実は「固定的ではない」と思う。考えてみましょう、

・「これまで合法だったけどこれからは違法になる」(例:グレーゾーン金利)
・「明らかに法律違反だけど、和解金を支払うことによって、自分のビジネスにしてしまう」(米国で多い戦略)
・「違法だけど、損害が発生しないので、訴訟にならない」(これ多いね)
・「違法だったけど、ビジネスのイノベーションで合法に変えてしまう」(これすごい)
・「訴訟に勝って、判例でもって法律の運用を変えてしまう」(強すぎる...)
・「訴訟に負けても、放置しておいてもなんの問題も生じない」(2chの開設者は敗訴の賠償金を一切払っていない)


こういうパターンもあるでしょうに...。
法律なんて、設定と運用次第で、ダイナミックに動く(動かす)ものなのだ。
ここで、井上社長の言説に戻って、ユーザーのニーズに応えてるのはヤフーなのかGoogleなのか考えてみよう。

(a)「検索連動広告」は米ヤフーの真似
→ ★ヤフーにまかせてたらまだ広まってさえもいないだろう。下手な料金設定とかで

(b) ストリートビューはすごいけど一種の「のぞき」
→ ★使う人にとって便利。文句言っている人は、ホントにどれだけ困っているというのか。単なる自意識過剰である。

(c) ブックサーチは著作権無視のコピーだ
→ ★使う人にとって便利。著作権の作者の利益は、今のやり方以外でも補償できるでしょ。というかそれを考えていくのがIT企業じゃないの?

(d) YouTubeだって、違法の動画がトラフィックの多くを占めている」
→ ★使う人にとって便利。違法DLで本当に困るのは誰なのかよーく考えてみよう。そもそも中間業者は必要なのだろうか、というあたりから。



ビジネス視点・収益視点・既存の商慣行の視点じゃなくて、あくまでも、消費者の視点=「使う人にとって便利」を追究したり、あるべき状態をゼロベースから考えることが大事なのだ。法律や社会通念や常識を、発想の前提にすることがまちがっている。
結局の所、失った秩序と、提供できるメリットのトレードオフでしょう。それをちゃんと偏らずに評価して、意志決定をすること。それこそが、社会貢献の姿でもある。
Youtubeが著作権を気にしていたら、はたして ここまで成長できたであろうか?


うちの理念は、「使う人にとって便利」の追究なのだから、「法律という壁にチャレンジする」ことも大切だし、避けてはいけないと思う(避けていてはずっと弱小ベンチャーのままだろう)。むしろ、法律を乗り越えるノウハウを蓄積することこそが競争力になるし、法律を逆に利用することもできる。

というわけで、弊社は「リスク」をあえて取ることを厭いません。
そのほうが、実は競合が少なく、ニッチ。リスクを果敢に取り入れて挑戦ができるのは、ベンチャーのメリット。
対して、法的リスクを避けるのは大会社の”弱点”である。
コンプライアンスは、企業の大きさに比例していれば十分なのだ。

叩かれたり、社会的情緒を優先する市民、足を引っ張るのが好きなネット住民には批判されることもあるだろう。でも、私はそんなの覚悟ずみです。
恐れていてチャンスを逃すくらいなら、最初から起業しません。

常識は、壊してなんぼである。


 
 

2010年1月10日日曜日

なぜ日本のGDPが20年も伸び悩んでいるのか

日本はこの20年本当に成長してなかった。その原因は先進国だからもう伸びしろがない、ではない。米国は伸びているのだ。
GDPのグラフ⇒

米国の伸びはITベンチャーが牽引しているのも一因。
さて、日本ではどうであろう。

ある程度の能力もった人はそもそも大企業志向だし、日本の優秀な人材は、大体がすでに大企業に勤めている。

正社員の過剰保護・好待遇という労働慣行のなか、わざわざ会社辞めて起業するヤツなんて多いわけがないだろう。飼い殺しだろうが、なんだろうが、実力がついた頃には嫁さんと子供と一戸建て……身動きがとれないだろう。そして、社内政治と、競合他社との意味の薄い差別化に疲れ果てる。

じゃあといって起業しても、失敗したら、個人で借金する羽目になり破産して再起不能になる(と思われているだけなのだが)。革新的なものを作っても、日本人はすぐには受け入れない。うまく売れたとしても、大手が後追いして総取り。または、足の引っ張り合い。

だから、日本のITベンチャーは育たない。

日本でも2000年以降、IT革命が始まったが注目を集めて成功したベンチャーは文系社長が率いるなんとなく山師っぽい会社ばかり。大手広告代理店や既存の既得権に繋がっている会社ばかりなわけだ。ソフトバンク、楽天、ライブドア・・・。みんな創業者は文系で、「技術で世界に勝負する」といった志がないタイプ。最近のミクシー、DeNA、グリーとかも同じ。

これじゃあ、とてもじゃないが世界では戦えない。日米のベンチャーをざっくりと比べてみよう。

  サイバーエージェント vs Google
  楽天 vs Amazon
  ソニー vs Apple
  ソーテック vs DELL

なんか悲しい。

日本にも昔はベンチャーがあった。ソニー、本田などだ。いま残滓があるのは任天堂ぐらいか。でも、それも過去の栄光になりつつある。

さて、私が思うのは、これはチャンスではないのだろうか。日本でいま、ITベンチャー参入は圧倒的に少ない。いるにはいるけど、米国より何倍も競争自体は少ない。人がやらないことをやるのが私は好きである。幸いなことに、企業に囲い込まれる人生でもなかった。

TVニュースをみていると自信を失わせるような報道ばかり目立つが、私はそもそも日本には力があると思う。

・狭い国土で鍛えられた、コンパクトさに対する感覚
・厳しい消費者にこたえることで鍛えられたサービス精神
・細部にこだわりぬく職人魂

この本来持っている力をいかにプラスに出すかだけだと思う。

積もり積もった既得権を希薄化し、日本市場の特有性に依存せず、、、つまり 【「買う側の視点」でイチからサービスを組み立ててみる 】 それだけだ。これって、かなりエキサイティングだと思う。おそらく、障害もあるだろう。失敗も空振りも当然するだろう。でも、最後は何とかなるような気がする。根拠はないが、自信はある。


■会社を大きくしようとしない(労働集約型をとらない。請負をしない)(所有よりも共有、人を増やさず簡素化か外注)(掛け売りなし)

■個を強くする、ワンマンの集合体をめざす(組織も会社もツールにすぎない)(好きなことで世界一になること)(結果検証は厳しく)

■守りに入らず失敗をあえて重ね、ノウハウ蓄積を本旨とする。(失敗をプラスに評価する)(最小投資多面展開、拙速OKアウトプット至上)(リスクをとる戦略)


このあたりが、これまでの日本型企業との差異であろうか。
2010年、今年も頑張ります。どうぞよろしくお願い申し上げます。