2013年1月16日水曜日

複層性の時代



帰省した田舎の商店街で気がついたのだが、

  • カメラ屋 兼 100円ショップ
  • 書店 兼 携帯ショップ
というのが新しくできていた。

いずれも、会計エリアが共通になっていて店員は同じだ。
都会ではまだ見かけないが、過疎地では増えているのかもしれない。

そりゃそうだよね。
一日に数十人くらいの客なら、同じ店員で複数店舗を回したらそれだけで経費節減だ。





いろいろ手がける時代 


何か1つに打ち込む!というと話ではわかりやすいが、人間の心理にはもともと合わなくて、いろいろ食べ合わせるのが一番であるのと同じで、興味を一つに限定する必要は無いのかもしれない。

中近世~20世紀は一つに絞る時代だった。いわば、単層性の時代。とくに戦後の高度成長=中流階級の時代はそれでよかった。

しかし、今は二極化が進んでいる。勝てば大きく負ければワープア。勝ち組であってもいつ転落するかわからない。

だったら、いろいろ手がける「複層性」のほうが

  • どれかひとつが成功すればいい
  • どれかがダメになっても他がバックアップになるので安定する
  • どれも成功しないなら、それらを束ねればアウトプットが太くなる
  • 複数をうまく組み合わせることで、競争力(他との差別化)、話題性が強固になる

のだから適している。
そして、情報化が進んだ今はそれが可能なのだ。

  • 広告や営業はホームページで代用できる
  • デジタル化で特殊な職能も不要になったものが多い
  • メールや携帯があるから、たとえば店番や電話に張り付く必要も無い
  • POSシステムを利用して在庫管理・売れ筋管理が省力化された
  • 中央で集中してやる「集約化」も進んでいる。
    例:カメラの現像や、クリーニング、弁当調理(セントラルキッチン)など

これが20世紀との違いだろう。





家電業界にあてはめてみる 


ここ数年、日本の家電業界が不景気と言われているが、重電系といわれる東芝や日立は比較的体力がある。(官公庁系や原発など、景気にあまり関係ない分野が支えているのだ)

一方、家電オンリー(部品供給も含めて)のシャープは青息吐息だ。

選択と集中という経営手法をとるためには、それ以前に複数の選択肢が無ければいけないわけで、選択も集中する余地もない単層の会社は、早々に時代に波にのまれるわけだ。


その他メモ:

  • トヨタは元々、織機の会社を複層化して、変化したもの
  • ホンダのロボット事業には期待している
  • ヤマハは複層企業の代表例だろう
  • ミスドの母体は、ダスキン
  • DHCはもともと出版の会社
  • アサヒビールの収益のもう一つの柱は健康食品
  • TBSの経営をここ数年支えているのは不動産開発(赤坂サカス)
  • ワタミの介護事業、宅配食事業





結 論  


本業の経営を圧迫しない範囲で、業態にこだわる固定観念を捨てて、いろいろ組み合わせるのがいいと思う。できれば、そこにシナジーが生まれるのが理想かと思う。

広げて、選択して、集中して、また広げるのサイクルだ。

会社じゃなくて個人ベースで言えば、
趣味でやっているものは、もしかしたら収益化できるかもと考えると、下手に会社で出世を目指すよりもっと楽しいのではないか。また、夢を捨てて就職する(または逆に、会社をやめて夢を追う)必要も無い。両方やればいいだけだ。

21世紀のわらじは、二足三足でもいい。