帰省した田舎の商店街で気がついたのだが、
- カメラ屋 兼 100円ショップ
- 書店 兼 携帯ショップ
いずれも、会計エリアが共通になっていて店員は同じだ。
都会ではまだ見かけないが、過疎地では増えているのかもしれない。
そりゃそうだよね。
一日に数十人くらいの客なら、同じ店員で複数店舗を回したらそれだけで経費節減だ。
いろいろ手がける時代
何か1つに打ち込む!というと話ではわかりやすいが、人間の心理にはもともと合わなくて、いろいろ食べ合わせるのが一番であるのと同じで、興味を一つに限定する必要は無いのかもしれない。
中近世~20世紀は一つに絞る時代だった。いわば、単層性の時代。とくに戦後の高度成長=中流階級の時代はそれでよかった。
しかし、今は二極化が進んでいる。勝てば大きく負ければワープア。勝ち組であってもいつ転落するかわからない。
だったら、いろいろ手がける「複層性」のほうが
- どれかひとつが成功すればいい
- どれかがダメになっても他がバックアップになるので安定する
- どれも成功しないなら、それらを束ねればアウトプットが太くなる
- 複数をうまく組み合わせることで、競争力(他との差別化)、話題性が強固になる
のだから適している。
そして、情報化が進んだ今はそれが可能なのだ。
- 広告や営業はホームページで代用できる
- デジタル化で特殊な職能も不要になったものが多い
- メールや携帯があるから、たとえば店番や電話に張り付く必要も無い
- POSシステムを利用して在庫管理・売れ筋管理が省力化された
- 中央で集中してやる「集約化」も進んでいる。
例:カメラの現像や、クリーニング、弁当調理(セントラルキッチン)など
これが20世紀との違いだろう。
家電業界にあてはめてみる
ここ数年、日本の家電業界が不景気と言われているが、重電系といわれる東芝や日立は比較的体力がある。(官公庁系や原発など、景気にあまり関係ない分野が支えているのだ)
一方、家電オンリー(部品供給も含めて)のシャープは青息吐息だ。
選択と集中という経営手法をとるためには、それ以前に複数の選択肢が無ければいけないわけで、選択も集中する余地もない単層の会社は、早々に時代に波にのまれるわけだ。
その他メモ:
- トヨタは元々、織機の会社を複層化して、変化したもの
- ホンダのロボット事業には期待している
- ヤマハは複層企業の代表例だろう
- ミスドの母体は、ダスキン
- DHCはもともと出版の会社
- アサヒビールの収益のもう一つの柱は健康食品
- TBSの経営をここ数年支えているのは不動産開発(赤坂サカス)
- ワタミの介護事業、宅配食事業
結 論
本業の経営を圧迫しない範囲で、業態にこだわる固定観念を捨てて、いろいろ組み合わせるのがいいと思う。できれば、そこにシナジーが生まれるのが理想かと思う。
広げて、選択して、集中して、また広げるのサイクルだ。
会社じゃなくて個人ベースで言えば、
趣味でやっているものは、もしかしたら収益化できるかもと考えると、下手に会社で出世を目指すよりもっと楽しいのではないか。また、夢を捨てて就職する(または逆に、会社をやめて夢を追う)必要も無い。両方やればいいだけだ。
21世紀のわらじは、二足三足でもいい。