ヤフーの井上社長の記事が物議を醸している。
「グーグル?すごいとは思わないね?」
ふむふむ。続けて、読んでみれば、
(a)「検索連動広告」は米ヤフーの真似
(b) ストリートビューはすごいけど一種の「のぞき」
(c) ブックサーチは著作権無視のコピーだ
(d) YouTubeだって、違法の動画がトラフィックの多くを占めている」
ああ、ユーザー本位でない典型的な日本の既存型大企業だ。官僚的。ユーザーに対して、上から目線。
『ユーザーが使いたい機能を提供するのが Google、ユーザーに"使わせたい"機能を提供するのが Yahoo JAPAN』と揶揄される所以だ。
日本の大企業は、とにかく法律に盲目的にしばられる。法律が「固定的である」という考えに支配されているけど、現実は「固定的ではない」と思う。考えてみましょう、
・「これまで合法だったけどこれからは違法になる」(例:グレーゾーン金利)
・「明らかに法律違反だけど、和解金を支払うことによって、自分のビジネスにしてしまう」(米国で多い戦略)
・「違法だけど、損害が発生しないので、訴訟にならない」(これ多いね)
・「違法だったけど、ビジネスのイノベーションで合法に変えてしまう」(これすごい)
・「訴訟に勝って、判例でもって法律の運用を変えてしまう」(強すぎる...)
・「訴訟に負けても、放置しておいてもなんの問題も生じない」(2chの開設者は敗訴の賠償金を一切払っていない)
こういうパターンもあるでしょうに...。
法律なんて、設定と運用次第で、ダイナミックに動く(動かす)ものなのだ。
ここで、井上社長の言説に戻って、ユーザーのニーズに応えてるのはヤフーなのかGoogleなのか考えてみよう。
(a)「検索連動広告」は米ヤフーの真似
→ ★ヤフーにまかせてたらまだ広まってさえもいないだろう。下手な料金設定とかで
(b) ストリートビューはすごいけど一種の「のぞき」
→ ★使う人にとって便利。文句言っている人は、ホントにどれだけ困っているというのか。単なる自意識過剰である。
(c) ブックサーチは著作権無視のコピーだ
→ ★使う人にとって便利。著作権の作者の利益は、今のやり方以外でも補償できるでしょ。というかそれを考えていくのがIT企業じゃないの?
(d) YouTubeだって、違法の動画がトラフィックの多くを占めている」
→ ★使う人にとって便利。違法DLで本当に困るのは誰なのかよーく考えてみよう。そもそも中間業者は必要なのだろうか、というあたりから。
ビジネス視点・収益視点・既存の商慣行の視点じゃなくて、あくまでも、消費者の視点=「使う人にとって便利」を追究したり、あるべき状態をゼロベースから考えることが大事なのだ。法律や社会通念や常識を、発想の前提にすることがまちがっている。
結局の所、失った秩序と、提供できるメリットのトレードオフでしょう。それをちゃんと偏らずに評価して、意志決定をすること。それこそが、社会貢献の姿でもある。
Youtubeが著作権を気にしていたら、はたして ここまで成長できたであろうか?
うちの理念は、「使う人にとって便利」の追究なのだから、「法律という壁にチャレンジする」ことも大切だし、避けてはいけないと思う(避けていてはずっと弱小ベンチャーのままだろう)。むしろ、法律を乗り越えるノウハウを蓄積することこそが競争力になるし、法律を逆に利用することもできる。
というわけで、弊社は「リスク」をあえて取ることを厭いません。
そのほうが、実は競合が少なく、ニッチ。リスクを果敢に取り入れて挑戦ができるのは、ベンチャーのメリット。
対して、法的リスクを避けるのは大会社の”弱点”である。
コンプライアンスは、企業の大きさに比例していれば十分なのだ。
叩かれたり、社会的情緒を優先する市民、足を引っ張るのが好きなネット住民には批判されることもあるだろう。でも、私はそんなの覚悟ずみです。
恐れていてチャンスを逃すくらいなら、最初から起業しません。
常識は、壊してなんぼである。