コンピュータ業界の歴史は「おもちゃ」による勝利の積み重ね
http://d.hatena.ne.jp/kwatch/20080708/1215531146
というエントリーがあった。
たしかに、MySQLもLinuxも、Javascriptも登場した頃はもっと高級な技術のおもちゃに過ぎなかったが、今は主流である。
・Multicsはろくに使われなかったのに、某研究所の片隅に転がっていたマシンで作られたUNIXは大人気に。
・そのUNIXがバカにしていたMS-DOSやWindowsは、コンシューマ用OSで世界制覇を果たした。
・国防省キモ入りで委員会によって作られたAdaは国防省の案件ぐらいでしか使われず、個人が作ったPascalやCのほうがずっと広まった。
・IBMが推進していたTokenLingは、Ethernetの安さに完全に敗北。
・RISC派がバカにしていたCISCは、RISCが得意としていたサーバ分野も制覇。
・Mac信者がバカにしていたx86は、今はMacのCPU。
・SCSIがバカにしていたIDEは、改訂を重ねて今でも主力技術のひとつ。
・BSD派がバカにしていたLinuxは、UNIX系OSとしては世界で最もよく使われているOSになった。
・OracleがバカにしていたMySQLは、GoogleやFacebookなど新興企業が軒並み採用。
・みんながバカにしていたJavaScriptは、今や空前のブーム。
・メインフレームはミニコンに、ミニコンはPCに、そして今やPCはケータイやDS-Liteに取ってかわられようとしている。
以上引用。
おもちゃである制約は、ギルダーの法則、ムーアの法則が解決してしまう。
したがって、シンプルな土台に立つ方が、洗練しやすい。つまり、時代のニーズに適応させやすいということもあり、生き残るのだろう。
手が届くこと、シンプルであること、フレキシブルであること、それがイノベーションの出発点である。
そんなおもちゃに対して、優れた&権威ある技術の方は時代を、自分たちの技術の側に合わせようと待っているだけだ。ベクトルが反対になっているのだ。技術的に優れているからと言って、普及するわけではない。
関連するエントリーとしては、
http://medt00lz.s59.xrea.com/wp/archives/259
がある。時系列に、ある技術の発展を分析している。
(滅んだ技術は、第1世代の発想を乗り越えられなかった、ということになる)
・複雑すぎた第一世代は、洗練を経て、平凡に回帰する
・新しいけれど複雑な製品は、どこかで根本的な何かを突破して、
シンプルで、画期的な何かへと生まれ変わる。
・本当に画期的な製品は、誕生と同時に、常識を上書きしてしまう。
それは一見すると、なんだか昔から存在していたような、
誰でも思いつきそうな、平凡なものに見える
・手が届くこと。それを使っている自分が想像できること。
技術の見通しがよくて、 シンプルで、あまつさえ「平凡」に見えるプロダクトが、たぶん世の中を大きく動かす
日本のITゼネコンは、官庁などに技術を高く売るために、おもちゃを蔑む傾向が強い。その結果、いずれの「おもちゃ」の時流にも乗り遅れ、ガラパゴス化し、収益構造が伸びず疲弊している。もったいない。権威に弱いのかなあとも思ったが、単に自らの利権構造をブラックボックス化しようというだけのような気もする。だとすれば、自業自得だ。
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